勉強法

教科書を暗記するなら「テスト採点読み」勉強法がオススメ

2回目の採点を終えた後のテスト用ノートの様子。1回目と比べて格段にかけていることがわかる。

受験が半年後に迫っているので、教科書を覚えたい。
もしくは、有用な書籍を常に脳内に入れてバリバリ仕事したい。
頭の中に本が丸ごと入ればいいなあ」という場面は、案外多いものです。

今回はそんな人のために、脳内に本を丸ごと送りこむ勉強法を紹介します。
名付けて「テスト採点読み」勉強法です。
この記事でお伝えする方法を使って、本なんかサクッと覚えちゃってください。

本記事で紹介する「テスト採点読み」勉強法の背景には、山口真由氏の提唱した「7回読み勉強法」に関する議論が存在します。そうした背景を知りたい方は、こちらの記事をご覧ください。

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Contents

「テスト採点読み」勉強法とは

テスト採点読み」勉強法とは、「読んで理解する」タイプの文章を効率よく覚える勉強法です。

大まかな流れとしては、
・覚えたい文章をブロックに分割する
テストでブロックの内容をできるだけ思い出す
・ブロックを読み、テストを採点し、模範解答を作る
テスト採点読みを覚えるまで繰り返す
というものです。

テストによる学習効果を最大限取り入れた上で、学習中に心が折れにくいように設計されています。

「テスト採点読み」勉強法に向いている文章

勉強法には当然、勉強したい内容によって向き不向きがあります。もちろん、「テスト採点読み」勉強法も例外ではありません。

テスト採点読み」勉強法が得意とするのは、「読んで理解する」タイプの文章です。
例えば、世界史などいわゆる暗記系科目の教科書や、一般のビジネス系書籍などの文章に向いています。

一方で、小説などの「読んで楽しむ」タイプの文章や、一問一答集や数学の問題集などの「解いて理解する」タイプの文章には向いていません。身に付けたい文章がこうしたタイプの場合には、別の勉強法を検討してください。

用意するもの

・覚えたいテキスト(教科書とか書籍とか)
・黒ボールペン,青ボールペン (書きやすく、色が2色あれば何でもいいです)
・ノート2冊(ルーズリーフでも代用可ですが、バインダーと併用し、順番を固定して使ってください)
・ルーズリーフ(ノートでも代用可ですが、ページ数が余るかも)
・透明な付せん(透明でなくても大丈夫ですが、透明の方が便利です)

用意するもの。今回は具体例の教材として、有斐閣『政治学』を用いる。

以下、画像での具体例には『政治学』(有斐閣)を用います。
本来ならば、せっかく勉強法の紹介をするのですから、大学受験向けとして「世界史Bの教科書」などを用いて説明すべきだとも思います。
しかし残念ながら、私自身が東大入試の過程で、こうした大学受験までの範囲を終えてしまっています。「既に勉強したことのある範囲」を勉強して、「この勉強法はオススメですよ!」と言ったところで何の説得力もありません。
ですので、私自身が勉強したことのない範囲のテキストを用いて説明することで、「勉強したことのない範囲でも、ちゃんと使えるんだよ」という事を証明したいと思います。そのため、今まで勉強したことのない分野として『政治学』を選びました。その点、ご了承ください。

「テスト採点読み」勉強法の手順

Step1.下準備:テキストをブロックに分割する

テスト採点読み」勉強法を始めるには、下準備が必要です。
これらの下準備を適切に行うことで、学習中のやる気が落ちないようにし、適切な復習のスケジュール管理を可能にし、記憶の整理を楽にすることができます。

用意するものはこちらです。
・テキスト
・黒ボールペン
・ルーズリーフ
・透明な付せん

覚えたいテキスト、黒ボールペン、ルーズリーフ、透明な付箋

テキストを眺める

まずは覚えたいテキストを眺めます
ここでの目的は大きく分けて2つあります。

一つは、全てのページをざっと見ておくことで、このあと本格的に読むときに疲れなくすることです。
人間は、見慣れない情報に接すると疲れてしまいます。これを認知負荷がかかる、といいます。
一度でも目を通しておくことで、「見慣れないページがある」という認知負荷を少しでも減らしておきましょう。そうすることで、難しい内容を注意深く読みたいときに、余計な認知負荷がかからずにすみます。

もう一つの目的は、テキスト全体の色使いやフォント、図表がどんな位置にあるのか、大見出し・小見出しがどれくらいあるかといった、レイアウトを把握することです。
特に、大見出しと小見出しがどれくらいあるかは、今後の作業に関わるので注目しましょう。各ページや段落ごとに、細かく見出しが付いている場合は作業が楽なので喜びましょう。あまり見出しが付いていない場合は、大変な作業があるので覚悟しておきましょう。

政治学のテキストをパラパラとめくって確認している。レイアウト把握中。隙間なく見出しが配置されており、重要な単語には個別に小見出しが付いている。この段階で、下準備の作業が比較的楽になりそうだということが分かる。

ブロックのはじめに付せんを貼る

全体に目を通し、レイアウトも把握できたら、次はブロックのはじめの部分に付せんを貼っていきます
大見出しや小見出しが細かめに整備されている場合は、それらを単位にして貼っていきます。

あまり見出しが付いていない文章の場合は、1ブロック最大5ページほどを目安に、直感で分割します。
段落の最初の方だけを読み、ここで話題が変わったなと思ったら貼るといい感じになります。

大見出しに付箋を貼った例。透明だとわかりやすい。透明な付せんを用いることで、見出しの文字を潰さずに貼ることができる。

本全体を通して、あまりにも法則が決まっている場合は、貼らなくていいかもしれません。
例えば、1ページにつき1項目だけが必ず書かれているような、辞書や事典,大全のような本です。

本全体に付箋を貼った様子。付せんの消費量は意外と多いので、透明な付せんはたくさん買っておくことをオススメ。

学習進捗表を作る

本全体に付せんを貼り終えたら、次は学習進捗表を作っていきます。
この学習進捗表は、この後に行う「テスト」や「採点読み」がどこまで進んでいるのかを把握するのと、「テスト」の際に各ブロックのタイトルを確認するために必要です。
テキストとルーズリーフ、黒ボールペンを使います。

先ほど貼った付せんを参考に、見出しのタイトルを各行の左端に書いていきます
タイトルが決まっていない場合は、そのブロックを速めに黙読し、仮決めします。文章中によく出るキーワードや、重要そうな文から取ると良いです。

政治学の見出しを学習進捗表にまとめたもの。

タイトルを書き終えたら、横軸にT C T C と書いておきましょう。
Tは「テスト」、Cは「採点読み」を意味しています。
今後「テスト」と「採点読み」をブロック別に繰り返し行うのですが、このTとCは、その際に書き込むスケジュール帳の役割を果たします。
手順が分かりさえすればいいので、TとCじゃなくても「テ」と「採」でもいいですし、正直ここは何を書いてもいいです

学習進捗表の横軸に、TCTCと書いている最中の画像

これにて下準備は完成です。
これで、いよいよ「テスト採点読み」勉強法の本番、テストに移ります。

Step2.テスト:できるだけ思い出す

今から行う「テスト」は、「テスト採点読み」勉強法において、この次に行われる「採点読み」と対を成す、極めて重要な手順です。具体的には、以下の目的をもって行います。
・自分の現在の理解度を確かめる
思い出そうとすることで記憶を強化する(心理学でいうテスト効果)

このテスト効果について少し説明しましょう。
実験心理学の分野において、単に情報を見たり聞いたりするよりも、その情報をできるだけ思い出そうとすることの方が、記憶が強化されることがわかっています。
情報を思い出そうとする、つまりテストを一生懸命解くということが、記憶の強化に大きく役立つのです。これを、テスト効果といいます。

テスト採点読み」勉強法は、このテスト効果を大きく取り入れた勉強法なので、この「テスト」段階が一番重要なのです。以下の手順に沿って、全力で挑んでください。

用意するもの
・ノート1冊(「テストノート」と書いておくと良い)
・黒ボールペン
・下準備で作った学習進捗表

学習進捗表と、テストノートと、ボールペン。

学習進捗表からタイトルを写す

まず、学習進捗表からタイトルを写します。
このタイトルは、テストにおける「問題文」の役割を果たします。

学習進捗表からタイトルを書き写す

できるだけ思い出して書く

ブロックのタイトルを書き写したら、このブロックに書かれていた内容をできるだけ思い出して書きます。これが「テスト」の正体です。

入試や学校の定期試験で例えるなら、このテストは「〇〇について述べよ」という記述問題になります。本来なら、できるだけまとまった文章で解答するのが望ましいです。

でも、このテストは別に点数がかかっているわけではありません。このテストの目的は、「自分の理解度を確かめる」ことと「思い出そうとすることで記憶を強化する」ことです。
もちろん、まとまった文章で書けるのは素晴らしいことですが、それはあくまで最終目的です。

解答するときは、文章の形になっていなくても構いません。一単語だけでもいいです。近くになんか絵があったなとかいう感想だけでもいいです。とにかく、そのブロックの内容について、今の自分が思い出せる限界まで思い出すことが大切です。

初回テストの率直な感想。これが私の初回テストの答案。最初はこんな程度で良いんです。これから勉強すれば良いのだから!

採点用の余白を空けておく

これ以上思い出せなくなったら、採点読み用の余白を空けておきましょう。
空ける余白は、解答に使用した行数+1行です。
次の問題文を書きやすくするため、簡単な区切り線をつけても良いでしょう。

採点読み用の余白を開けた。解答に1行使ったので、採点読み用には2行空ける。この場合は、答案に1行使っているので、採点読み用の余白は+1行の2行分空ける。

学習進捗表に印をつける

頑張って思い出したあとは、学習進捗表に「やったよ!」という印をつけましょう。
結構長い時間の作業になるので、自分を励ますタイミングがないと簡単に心が折れてしまいます。
学習進捗表に印をつける際には、こまめに自分を褒めると集中力が長持ちします

答案を書いたので学習進捗表に花丸を書きます。これでもベストを尽くしたのですから、もちろん花丸です。

また、「ごほうびがあったらもっと頑張れる!」という人にオススメの学習進捗表の使い方があります。
ここまでテスト(や採点読み)を進めたいというマスに、ごほうびを書いておくと良いです。
印をつけるとき、少しずつごほうびに近づく感覚があってやる気を出しやすくなります。

学習進捗表にご褒美(アイス)を設定した様子。ここまで進めたらアイスを食べると決めました。決めたのです。

これらの手続きを他のブロックでも繰り返し行うとこんな感じになります。
テストノート1枚分についてテストを行った様子。

今の段階だとまだスカスカなので、少し不安になるかもしれませんが問題ありません。
その証拠に、次回のテストを受ける頃にはここまで書けるようになります。

2回目の採点を終えた後のテスト用ノートの様子。1回目と比べて格段にかけていることがわかる。2回目の採点が終わった後のテスト用ノートの様子。1回目では「わかんね」などと適当に書いていたブロックも、3行以上は必ず書けるようになっている。

Step3.採点読み:模範解答を作るために読む

さて、「テスト」がこの勉強法のメインだとすれば、これから行う「採点読み」はそのサポート役になります。「採点読み」の目的は、「テスト」の学習効果を引き立てることにあるのです。
具体的には、以下の目的をもって行います。
・採点では、先ほど行ったテストにフィードバック(正解)を与える
・読みでは、ブロック内の文章を要約し、理解する

もちろん、「採点読み」自体にも学習効果があります。
それは、文章を要約する過程で理解が深まることです。「要約しよう」という目的意識を持って読み進めることで、最初は話の流れをつかみ、だんだんと細部へと理解を進めていくことができます。

また、「採点読み」の前に「テスト」をしたおかげで、「自分がどこまで分かっていないか」を痛感しているはずです。自分の限界を知った状態で文章を読むのと、ただ漫然と文章を読むのでは、記憶の効率が大きく違ってきます。テストを最初にやった上で、採点読み→テスト→採点読み…と続ける方法には、自分の現状を正確に思い知った上で学習を進められるメリットがあるのです。

用意するもの
・テキスト
・青ボールペン
・学習進捗表
テスト用ノート

採点読みに必要なもの。テキスト、学習進捗表、テスト用ノート、青ボールペン

自分の答案と、ブロックの文章を読む

まず最初に、テスト用ノートに書いた自分の答案を読みます。
ここでの目的は、「自分が今知っていること」と「自分が今知らないこと」の境目を知ることです。

その作業を終えたら、ブロックの文章を読んでいきましょう。

答案を添削

ブロックの文章を読み終わったら、自分の答案を添削します。
ここで、自分の答案があまりにもひどく、手がつけられない場合は添削しなくてもOKです。
覚え間違いや事実誤認があった場合は、この段階で直しましょう。

文章を要約し、模範解答を作る

答案を添削し終わったら、今度はブロックを要約し、模範解答を作ります

模範解答は、テストの時に空けておいた余白に書きます
余白の行数が限られているおかげで、全文を書き写すことはできないようになっています。
スペース内に収まるように、文章内の重要な部分を厳選しましょう。

テストの後模範解答を記入したテストノート。ところどころskipやnoneと書かれているのは、分からなかった時と不要な時に備えて。模範解答を書き終えるとこんな感じになる。なぜ空欄があるかについては、後述する「文章がわからなすぎて要約が作れない場合」「ブロック全体に覚える意味がない場合」を参照してほしい。

一つ注意していただきたいのは、全てのブロックについて要約をするわけではない、ということです。
自分の理解度やブロックの内容によっては、要約をしないことがあります。
具体的には、
文章が分からなすぎて要約が作れない場合
→このブロックは一旦飛ばします。
ブロック全体に覚える意味がない場合
→このブロックの学習予定を削除します。
書いた答案がほとんどあっている場合
→要約はほとんど行わず、復習スケジュールに昇格させます。

詳しくは後述します。

模範解答とブロックの文章を読んで確認する

模範解答を書き終わったら、もう一度だけ模範解答とブロックを読んで確認します。
この時は、「このブロックはこういう話だ」という風に、全体の流れを確認するように読むと良いでしょう。
この読み作業を終えたら、次のテストまではブロックの学習は後回しです。他のブロックを学習しながら、脳内で記憶が「熟成」されるのを待ちましょう

学習進捗表に印をつける

確認が終わったら、学習進捗表に印をつけましょう
「テスト」の時と同様に、こまめに自分を褒めるのが長く続けるためのコツです。

文章が分からなすぎて要約が作れない場合

さて、要約をするには文章全体を理解しないといけないと述べました。
では、文章が分からなすぎて要約が作れない場合はどうするべきでしょうか?

「テスト採点読み」勉強法の出す結論は、「後回しにすればいつか解ける」というものです。

文章が分からない原因にはいくつかあります。例えば、
後々の部分を読まないと分からない部分である
前の話の理解が固まっていないので、思考が追いつかない
・その時たまたま、身体的・精神的に調子が悪い
などです。こうした原因は、その部分を「後回し」にすることで多くを解決できます。

大事なのは、そのブロックが分からないからといって、その後全てのブロックも分からないのだ、と思い込まないことです。
そこだけ局所的に難しいだけかもしれませんから。

採点読み」の作業においては、答案の部分には「skip」など飛ばしたことが分かる表記をしておきます。

テストノートに置いて空欄にしたブロックのテスト答案の横にskipと書いた様子。空欄にしたブロック。テスト答案の横にskipと書いた。

学習進捗表には何も書かずにスルーします。

学習進捗表において、要約できないと判断した場合に行う処理。具体的には何も書かずにスルー。中央の空欄4つが今回飛ばしたブロック。本全体のまとめみたいな部分だったので、後の方を理解しないと要約できないと判断した。

こうすることで、次に「採点読み」の作業をする際、「ここは一回飛ばした部分だけどもう一回やってみよう」という判断ができます。その時にようやく要約に成功したら、今回空けた場所に印をつけましょう。

ブロック全体に覚える意味がない場合

ブロックの中には、要約して覚える意味がないような、無駄なブロックも存在します。
例えば、次のブロックで円滑に話を進めるための前振りや、著者の世間話などです。
この場合は、無駄なブロックだと判断し、学習から削除します。

テスト用ノートでは、答案の横に「none」や「delete」など、削除したことが分かる表記をしておきます。

テスト用において、無駄なブロックとして削除する場合は、テスト答案の横に削除することが分かる表記をしておく。画像の例では、「none」と表記して、ブロック削除の意思表示をした。

学習進捗表では、「削」や「×」など、削除したことが分かるマークをCの欄に書いておきます。

学習進捗表において無駄なブロックを削除するときの表記。Cの欄に「削」と書いた。「アンケート」というBlockは削除するので、Cの欄に「削」と書いた。

次にテストをする際には、「削」と書かれたブロックを飛ばすことで、効率よくテストすることができます。

答案がほとんどあっている場合

何度か「テスト採点読み」を繰り返すと、ほとんど手直しの必要ない答案を書けるようになります。
おめでとうございます!努力の成果ですよ!

このレベルまで成長したら、あとは復習スケジュールに沿って「できる状態をキープ」する作業になります。ここで、用意していたもう一冊のノートを取り出してください。このノートは「模範解答ノート」になります。

テスト用ノートの余白には「OK」や「模範解答」などと書いておきます。

2回目の採点において発生した模範解答。わずかな修正はあるものの、この程度なら模範解答として入れて構わない。多少修正はあるが、この程度ならば余裕で模範解答行きである。今回は2回目の採点で模範解答が発生したが、大体の場合3~4回目の採点で発生することが多い。

模範解答ノートを開き、自分の優秀な答案を書き写します。(タイトルを付けるのを忘れずに。)
また、学習進捗表を「さくいん」として使えるように、ページ番号を隅に振っておきます

模範解答ノートに、発生した模範解答を書き写している様子。書き写している最中に新たな誤植・修正箇所に気づくことがある。その時は書き写しながら修正すると良い。

また、学習進捗表では、つけた印の周りを太く囲うなど目立つようにします
その横の欄には、明日の日付を書いておきましょう。この日付が復習するタイミングになります。
(書く日付の詳しい話は、「全てが出揃うまでの復習スケジュール」にて後述します。)
また、模範解答ノートのどこに書いてあるか分かりやすいように、先ほど振ったページ番号を右端に書いておきます。

学習進捗表における、模範解答発生時の処理。Cのマークを強調し、横には明日の日付を、右端には模範解答用ノートでの参照箇所を記しておく。この表記を全てのブロックで埋め尽くすのが、この勉強法の目標になる。

最終的には、全てのブロックが復習スケジュールに昇格します。
それまではテスト→採点読み→テスト→採点読み…のループを繰り返しましょう!

学習進捗表が手詰まりになった場合

最後に、学習進捗表が手詰まりになった場合の対処法を書いておきます。
学習進捗表が手詰まりになるとは、
後回しにしたブロックを再度「採点読み」しても、分かるようにならない
状態です。

この場合は、
テキストが難しすぎるかもしれません。もっと易しい本を探しましょう。
著者の説明不足かもしれません。他の本やネットで調べてみましょう。
・もし目標に必要ないのであれば、諦めて削除するのも手です。

Step4.復習する

ここまでの努力によって、ブロックごとの細かな要約を覚えることができました。
しかし、これだけでは不完全です。一度覚えたものは、いつでも使えるように定期的なメンテナンス、つまり「復習」する必要があります。

特に、一つの分野に集中して学んでいる時は、前に覚えた基礎知識をメンテナンスしておくことで、たとえば数日後に挑む発展的な内容を、より深く理解することができます。数日前の自分の勉強が、今の自分を助けるのです。

究極的には、何かを覚えるというのは、脳内にある情報と覚えたい情報を結びつける作業です。
つまり、覚えれば覚えるほど、結びつける先が増えるので、覚えやすくなります
過去の自分の勉強の恩恵を最大限受けるために、復習は欠かさないでください。

全てが出揃うまでの復習スケジュール

この「テスト採点読み」勉強法では、全てのブロックが模範解答入りになることを目的としています。
しかし、ブロックによって得意不得意があります。
得意なブロックに関しては、不得意なブロックが覚えられるようになるまで、個別に復習しなければなりません。

問題はその復習スケジュールです。全てのブロックを常に使えるようにするだけなら、毎日全てのブロックを復習すればいいということになりますが、それでは時間がいくらあっても足りません。
「ギリギリ忘れかけた頃に復習」することで、時間をできるだけ節約しましょう。

具体的には、以下のようなスケジュールを組みます。
・習得したら初回の復習は1日後
・次の復習で正解だったら、復習間隔を3倍にする
(例:1日後の復習で正解したら、次回の復習は3日後。9日後の復習で正解したら、次回の復習は27日後。)
・次の復習で不正解だったら、復習間隔を1日に戻す
(例:9日後の復習で不正解だったら、次回の復習は1日後。その復習に正解したら、次回の復習は3日後。)

こうすることで、自分の記憶の持続時間をできるだけ伸ばし、得意な問題を先送りして、苦手な問題を集中的に復習することができます。
(また、不正解の場合に復習間隔を1日に戻すのがやり過ぎだと思う場合は、復習間隔を3分の1にするもあります。自分にとって適切な数値を見つけてみてください。)

学習進捗表には以下のように書いておきます。

学習進捗表における復習スケジュールの記入例。3回ほど復習した場合の記入例。

学習進捗表は毎日チェックし、今日の日付になっているブロックを探して、まとめてテストしましょう。採点をしたら、次回の復習予定を決めて書きます。
もし復習を忘れてしまったり、その日に全て復習しきれなかったりした場合は、
実際に復習する日と、それ以前の日 が一番右側にあるブロック
を復習すればいいです。
例えば、8月1日~8月4日の間まったく復習せず、8月5日にようやく復習するという場合は、8月1日~8月5日のいずれかが右側に書かれているブロックを復習すれば大丈夫です。

その際の復習スケジュールは、当初予定した復習間隔を元に計算してもいいですし、実際に行われた復習間隔を元に計算してもうまくいきます。
例えば、7月31日に習得し、8月1日に復習する予定のブロックがあったとします。
それを8月5日に復習し、正解した場合、復習間隔が5日でも正解したのですから、次の復習間隔をその3倍の15日にしても大丈夫なのです。(もっとも、計算は面倒になりますが…)

全てが出揃ってからの復習スケジュール

鍛錬の甲斐あって、全てのブロックを身につけられたら、より簡単な復習スケジュールを立てることもできます。

正直、一つのテキストから生まれるブロックの数は100以上になることが多く、それらの復習スケジュールを1つずつ管理するのは大変です。

そこで、模範解答ノート自体を一つの問題集としてみなし、問題集単位で復習スケジュールを立てるという方法があります。

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本一冊覚えるのにどれくらい時間がかかるか

ここまで、「テスト採点読み」勉強法の手順を紹介してきました。
冒頭にお伝えした通り、この記事を書くにあたっては、私自身も勉強したことのない範囲のテキストを使いました。その副産物として、各段階の学習にかかった所要時間を計測できたので、参考にしていただければ幸いです。(もちろん、本の難易度や濃度、学習する人が勉強に慣れているかどうかにもよって変動します。)

使用した本:「政治学」(有斐閣) 511ページ,1ページあたり35字x31行。

下準備:3時間07分
・テキストを眺める:10分
・付箋を貼る:1時間11分
・タイトルを書く:1時間46分
テスト→採点読みループ:139時間38分
・テスト1:2時間39分
・採点読み1:23時間20分
・テスト2:36時間59分
・採点読み2:41時間38分
・テスト3:16時間48分
・採点読み3:10時間10分
・テスト4:4時間54分
・採点読み4:2時間10分
・テスト5,採点読み5以降:2時間ほど

合計:142時間45分

もっと使いこなしたい人のためのオプション

さて、ここまでの方法を実践するだけでも、「テスト採点読み」勉強法の効果を十分に実感することはできます。
しかし、勉強の目的や自身の環境次第では、さらなる改造を施すことでより良い効果を得ることもできます。

この章では、「テスト採点読み」勉強法をもっと使いこなしたい人のための、改造オプションを示しておきます。

テキストに批判的に当たりたい人のためのオプション

教科書のように、専門家が集まって議論し、入念な検証を経て作られたテキストの場合は、内容自体の信頼性が高いでしょう。
しかし、学びたいテキスト全てが、教科書のように信頼性が高いわけではありません
むしろほとんどのテキストは、「本当は違うのではないか?」と疑いを持ちながら読み進めていかないと、自分のためにはならないものです。

このような場合、「テスト採点読み」勉強法では、テストおよび採点読みの際に、一手間加えることで対応することができます。
「自分の考え」をコメントとして書き加えるのです。

テストの際は、ブロックに何が書かれていたかに加えて、それに対して自分はどう思うのか、を書いておきましょう。採点読みの際は、その考えが適切にテキストの内容を批判(もしくは賛同)できているかどうか確かめましょう。こうすることで、たとえテキストが間違っていたとしても、「〇〇は間違っていると思う。なぜなら〜」といった風に、自分の意見を強化する形で、学習を進めることができます。

さらにいえば、自分の考えを書き記す習慣をつけておくことで、1回目のテストの段階で、学習しなくていいブロックをあぶりだすことができます
何か他のテキストで学んだことを思い出した上で、その本にそれ以上のことが書いてなければ、その本のそのブロックは二度と学習しなくて良いのです。
これは、過去の学習を有効活用する、素晴らしい方法になるでしょう。

もっと全体の流れを把握した人のためのオプション

「テスト採点読み」勉強法では、ブロックごとに分けて内容を覚えるという方法をとりました。しかし中には、テキスト全体の流れを把握したいという人もいるでしょう。多くの場合、テキスト全体の流れを俯瞰するようなブロックが含まれているものですが、中には含まれていないテキストもあります。その際、どうすれば全体の流れを把握できるかのオプションをご説明しましょう。

具体的には、各ブロックのタイトルを含んだ文章を作成し、それを覚えるという方法です。例えば、1章-1のタイトルが「〇〇」、1章-2のタイトルが「▽▽」、1章-3のタイトルが「××」だった場合、「〇〇の観点から考えると〜。また、▽▽と××の議論では〜・。」などの文章を作るということです。この文章が、1章全体のまとめの文章になるので、これを覚えれば1章の流れを把握することができます。
このまとめ方は重ねることができます。つまり、これを1章,2章,3章…についても同じことを行えば、テキスト全体のまとめの文章を作ることができます。それを覚えれば、テキスト全体の流れを把握することが容易になります。

この手続きは、自発的にその分野の知識を総動員したい時に役立ちます。
つまり、「〇〇の分野で解決できないかな」などと思った時に、「〇〇の分野」という言葉だけで教科書の全体の流れを思い出し、その思い出した文章の中に含まれるタイトルだけで、その章の流れを思い出し、その思い出した文章の中に含まれるタイトルだけで、その章に含まれるブロックの細かい内容を思い出せるのです。
このような状態は、自分の脳内で本の目次をめくり、内容を探している理想状態です。複数の分野でこれが可能になれば、自在な発想を生み出す基盤が構築できたと言えるでしょう。

フリックやタイピングが速い人向けのオプション

この「テスト採点読み」勉強法では、511ページある政治学のテキストを、142時間かけて暗記することに成功しました。しかしこれらの測定は、できるだけ多くの人に使ってもらえるよう、「すべて手書き」で検証した結果になります。スマホのフリックや、パソコンのタイピングが速い人なら、この時間をもっと短縮することができます。

例えば、下準備学習進捗表の作成では、スマホではメモ帳、パソコンではエクセルなどの表計算ソフトを使うことによって、より迅速に進めることができます。
テストするときも、タイトルなどはいちいち書き写さずにコピペすればいいので楽です。また、書くよりもフリックやタイピングの方が入力が速いですし、途中で思いついた内容を入れることも容易です。
これは採点読みの際にも同じことが言えます。スマホやパソコン内で文字列検索ができますから、学習進捗表の右端に「模範解答ノートのどこにあるか」を書かなくても良くなります。
もし手書きよりもフリックやタイピングの方が得意ならば、必ずやっておきたいオプションです。体感にはなりますが、所要時間が6割ぐらいに減ると思います。

設計意図:改造したい人向けの情報

ここまで、あらゆる目的を想定して、「テスト採点読み」勉強法の用途を説明してきました。しかし、私の想定外の使い方をしたい方々、もしくは「もっといい方法があるはずだ」とさらなる改善を試みたい方々がいらっしゃると思います。
私は自らの勉強法の不完全性を認めていますので、そうした改造がより行いやすいよう、各工程・仕組みがどのような意図で作られたかという設計意図を書き残したいと思います。例えばもし、自分の勉強法にそぐわない意図があれば、そこが改造するポイントがあるでしょう。この章はそうした改善の指針になるはずです。

ブロック別の意図

この勉強法の基本的なコンセプトの一つは、「困難は分割せよ」というデカルトの名言にあります。比較的文字数の多いテキストを身につけようと学習する際、それをひとまとまりに処理してしまおうとすると、モチベーションの低下や、不要な障害に理解を阻まれるのは当然のことです。具体的な弊害というのは、「途中で虚無感に襲われる」「一つわからないことが出てくると、その先も分からないのではと思ってしまう」というものです。

ブロック別にすることで、こうした弊害を未然に防ぐことができます。事前に小分けにしておくことで、成長を実感する回数を増やしていますし、分からない部分があったとしても、このブロックは飛ばそうという判断ができます。ブロック化をしていないと、どこまでを飛ばし、どこから再開するのかの判断が付きづらいのです。

さらに、学習を進めていけば、一ブロックあたりの所要時間が分かってくるでしょう。そうして得られたデータを用いれば、勉強計画を「この時間にはこのブロックのテストまで終わらせよう」という具体的なスケジュールに落とし込むことが簡単になります。どこまで学習が進むのかという漠然とした不安に襲われることなく、計画的に実行できるのは大きなメリットです。

また、学習効率の面からいえば、「得意なものほど少なく、苦手なものほど多く」学習できる点が素晴らしいでしょう。ブロック化がなければ、得意な分野の学習回数を、苦手な分野の学習回数に合わせなければなりません。これが非常に無駄で、ブロック化はそれを徹底的に省くことができます。

学習進捗表

学習進捗表をシステムに設定した理由は大きく分けて以下の3つです。
・どのブロックの学習が進んでいるのか、一目でわかるようにするため
・復習スケジュールをわかりやすく把握するため
・テストや採点読みで処理するたび、学習進捗表にマークすることでモチベーションを維持するため

上記2つは、まさに進捗表の本領ともいうべき目的です。
どのブロックがどこまで進んでいるのか把握するのは重要です。この勉強法において、学習の順番におけるほとんど唯一の制約は、「テストの後に採点読み、採点読みのあとはテスト」だけですが、これを確実に守るためには学習進捗表は必須です。
学習進捗表を設定するだけで、「隙間なく印を並べる」という原則さえ守れば、「テストの後にテスト、採点読みの後に採点読み」となってしまう状態を防ぐことができます。

3つめのモチベーションは、案外重要な役割を果たします。つまり、長いテキストを勉強していると、どうしても心が折れやすく、その割には、勉強している自分を褒めてくれる人がいないのです。その場合、何らかの形で、自分で自分を褒めるタイミングを作るしかありません。
学習進捗表があることで、ブロック毎に自分を褒めるタイミングが訪れます。また、簡単な報酬を用意しておくことで、「そこまで頑張ろう」という頑張り方をすることもできます。モチベーションを設計する上で、学習進捗表は大きな手助けになるはずです。

前述した手続きでは、ルーズリーフを使用すると書きましたが、実際にはどの媒体でも構いません。スマホやパソコンで学習する場合は、エクセルシートを使うのも良いでしょう。なぜ紙のノートが代用可に止まっているのかというと、そこまでの枚数にならないので、ノート1冊を使うにはもったいないからです。それでも、「複数の学習進捗表を一括で管理したい」という場合には、「学習進捗表ノート」を作ってもいいかもしれません。

テスト用ノート

「テスト採点読み」勉強法において、テストはテスト効果を最大限享受するための主力です。しかし、テスト効果を得るだけならば、裏紙に書いて捨てればいいのではないか、という議論も当然存在していました。

それでもノートを用意するべきだと結論づけたのは以下の理由が決め手です。
・テストをいつ採点読みするか分からないので、それまでに紛失する危険がある
・学習した結果が時系列に保存されているべき
・自分の理解度を目に見える形で残しておくべき
モチベーション維持の観点

1つ目は、この勉強法がブロック単位で動いていることに由来します。この勉強法では、「分かるところから勉強する」ため、例えば冒頭のまとめページなど、ある程度学習しなければ要約することができないブロックに関しては、長くて半年は放置されることもあるでしょう。その場合、適当な裏紙に書いていたのでは、すぐに紛失する危険性があります

また、2つ目は1つ目と多少関連します。長期間ぶりのテスト答案を採点読みしようとする際、テストがいつ行われたのかという記録を頼りに探すことになります。この場合、ノートのような順番が固定されている紙媒体を使えば、「だいぶ前にテストしたからだいぶ前のページ」という風に、期間とページ数の一致がとれます。しかしルーズリーフを使ってしまうと、(完全に順番を固定している場合は別ですが、)どのページにどのテストがあるか分からないので、検索が困難になってしまうのです。

3つ目と4つ目は共に、なぜ「書く」を採用したのかという議論に基づきます。理解の確認をするだけなら、「声に出して思い出す」などの手段もあり得たはずで、そちらの方が速度的には上なはずだからです。
それでも「書く」を採用したのは、長い文章の理解確認においては、後戻りできない形で自分の理解度を残しておかないと後知恵バイアス(後で結果を知って自分は元から結果を知っていたと思い込むこと)に引っかかる可能性があるからです。
例えば、「声に出して思い出す」を採用すると、次のような問題が発生します。テストに沿ってできるだけ思い出した後、採点読みでブロックの文章を読むと、本当は思い出せていない文章が見つかります。しかしその時に、「見覚えがあるから確か言ったはず」という錯覚を起こしてしまいます。声に出しただけですから、実際に言っていたかどうかを検証する方法はありません。そのまま理解を放置してしまうと、「見たことがあるけど思い出せない」状態のまま、復習スケジュールに入ってしまいます。
かと言って、音声レコーダーで音声を保存すると、今度は閲覧性に問題が生じます。ノートに書いておけば一目で確認できますが、音声で保存すると最初から最後まで聞かなければならないのです。以上の理由で、「書く」が有力だと思われます。

模範解答用ノート

「復習」において、模範解答用ノートは解答集の役割を果たします。テスト用ノートの時の議論と同様に、模範解答用ノートの形式に「ノート」を採用しているのは、順番が固定されているため、学習進捗表の右端にページ番号を書くことで、さくいん的に使えるからです。ルーズリーフだったら探すのが手間になってしまいます。

また、このノートは単体でも教科書の役割を果たします。つまり、試験の直前などにこのノートを通読することで、教科書全ての内容を思い出すことができるのです。順番がバラバラであるというデメリットは存在しますが、それらは「流れを把握する」オプションでカバーできるでしょう。

テキストの問題集化

「テスト採点読み」勉強法が目指していたもう一つのコンセプトは、「テキストを問題集化する」ことでした。というのは、安定的な復習の維持を行うには、問題集の形式でなければ難しいからです。

効率的な復習には、分散学習の観点が欠かせません。「正解したら復習期間を伸ばし、不正解なら縮める」という分散学習を適用するには、「正解/不正解」の判定が必要であり、そのためには「問題-解答」のセットが必要なのです。

冒頭のリンクで示した通り、この勉強法の議論の背景には「7回読み勉強法」に対する評価がありました。その「7回読み勉強法」には、テキストを問題集化する観点がついておらず、復習手段としては「期日が到来したら繰り返し読む」ぐらいしか含まれていなかったのです。

今回の勉強法はそれらを改善し、どうやったら効率よくテキストを問題集にできるか?という視点から開発を行いました。その結果、その本を一番知っているのはその本を書いた著者であり、その著者が大見出し・小見出しというタイトルをつけているから、それを活用しようという結論に至ったのです。

もし学習している内容について、すでに問題集が市販されている場合は、この勉強法を使わず、普通に市販の問題集を使ってもいいかもしれません。この部分について断言ができないのは、「自分で問題/模範解答を作ると、記憶が強化される」メリットと、「模範解答を作る時間を節約できる」メリットのどちらが大きいか、検討の余地があるからです。

終わりに

以上、ブログにしては多めの分量でお送りした「テスト採点読み」勉強法はいかがだったでしょうか。
この記事があなたの勉強生活に役立つものになることを願ってやみません。それでは。