
もし暗記が苦手なら、Ankiは必ずあなたを助けます。紙の単語帳や、蛍光ペンまみれの教科書では考えられないような大きな効果を、ほんのわずかの時間で得られるからです。
Ankiには、記憶する上で重要な「短期記憶と長期記憶」「分散学習」の概念が内蔵されており、この上なく効率的な暗記をサポートしてくれます。これを使いこなせる頃には、暗記が得意になっているはずです。
従来の暗記法には問題がある

私たちは暗記に迫られています。
定期テストや受験勉強、資格試験もそうだし、知り合いの顔と名前が一致している必要もあります。
大事なときに限って思い出せない、というのは人間として誰もが抱えたことのある悩みではないでしょうか。
にも関わらず、一般に知れ渡っている暗記法は、そのような現状に対してあまりにも無力です。誰もがやったことのある有名な暗記法といえば、
・紙の暗記カードを買ってオモテ面に問題、ウラ面に答えをかく暗記カード
・覚えたい文章に緑マーカーをひいて赤シートでかぶせる方法
・ノートや裏紙で青ペンでたくさん書くことで覚える方法
など。試験前の一夜漬けでこれらの方法を試してみた人も多いのではないでしょうか。
しかし残念ながら、これらの暗記法はあまり効率の良いものではありません。
「短期記憶と長期記憶」や「分散学習」の観点からみると、「覚えたつもりが覚えていない」「覚えたとしても復習が大変」「一回覚えてもすぐに忘れてしまう」などの問題点があるからです。
短期記憶と長期記憶の観点
従来の暗記法が抱える問題点その1は、「短期記憶と長期記憶」についてです。
人間の記憶作業は、大きく分けて二段階に分かれています。「入ってきた情報をとりあえず脳においておく」段階と、「その中から重要な情報だけ脳にしまう」段階です。
例えば、初めて会った人に自己紹介されたとき、「その人の名前は川上伸一郎だ」という情報は、脳の海馬という部分に”とりあえず”保存されます。自己紹介が終わった後、すぐその人を呼ぶときには、「川上さん」と言うことができるのです。これが短期記憶です。
短期記憶が脳に残っているのは、おおよそ20秒ぐらいが限度で、それ以降は消滅してしまいます。ですから、翌日その人と会っても、「昨日会った、声が低くて彫りの深い人だけど…名前なんだっけなあ…川…川なんとかさん…」となってしまうのです。
昨日覚えたはずの短期記憶は、20秒以上経ってしまったので消えたのも当然。私たちがよく体験する、「覚えたはずなのに忘れた」という現象です。
しかし、その人と何回も会えば、私たちも名前を覚えることができます。それは、「その人の名前が川上伸一郎である」という情報が、長期記憶に入ったからです。
覚えたいものを、短期記憶のある海馬から、長期記憶のある大脳に移すには、「覚えるまで繰り返す」という方法が有効でしょう。いちど長期記憶となったものは、思いだしにくさの差はあっても、脳から消えることは無くなります。
私たちが暗記に対して求めているのは、覚えたいものを、短期記憶ではなく長期記憶に速く入れることです。
しかし、従来の暗記法は、「短期記憶しか使わない」危険性があります。
例えば、「liar = 嘘つき」という英単語を覚えたいとしましょう。ノートに書きまくる方法の場合、ただひたすらliarという英単語を100回ノートに書きます。しかしこの方法では、「liar」が長期記憶に入ったかどうかを確かめることはできません。
なぜなら、「liar」を一回書くのに20秒以上はかからないので、短期記憶に「liar」をおいておくだけで、ノートに書きまくれてしまうからです。それでも何となく覚えられた気分になるのは、腕が疲れ、その作業に飽きてきたからにすぎません。
分散学習の観点
従来の暗記法が抱える問題点その2は、「分散学習」についてです。
学習の方法は、「集中学習」と「分散学習」の二つに分けられます。「集中学習」とは、覚えたい内容をひたすら連続して繰り返す方法、「分散学習」とは、覚えた内容を間隔を空けて復習していく方法です。
例えば数学で、公式の証明を理解した後、その公式を使いこなせるまで練習問題をたくさん解くのが集中学習、その後時間を開け、その問題を解けるかどうか確かめるのが分散学習です。
一般に認知心理学の分野においては、理解するまでは「集中学習」を行い、理解してからは「分散学習」を行うのが最適だと言われています。繰り返すことで徹底的に理解してから、その理解を維持するために間隔を開けて復習するという流れになります。(また、分散学習に切り替えるタイミングは、自分が「理解できた」と思ったタイミングが効果的だということも実証されています。)
残念ながら、従来の暗記法で「集中学習」を行うことはできても、「分散学習」に対応することは難しいです。
例えば、赤シートやノートに書く方法に「分散学習」を取り入れるとしたら、教科書や単語帳の章ごとに、復習スケジュールを組むしかないでしょう。1文や1単語ごとにスケジュールを組むのは、量が多すぎてそれだけで1日が終わってしまうからです。
しかし、章ごとに復習するということは、章の中で「覚えていて余裕な部分」と「とっくに忘れてしまった部分」が両方あるのに、それらに対して同じ間隔で復習することになってしまいます。5週間覚えていられる部分を2週間ごとに復習するのは、3週間分の無駄になるし、1週間しか覚えられない部分を2週間ごとに復習するのは、1週間それを忘れた状態で過ごさなければならず、同じく無駄です。
記憶のムラがあるのに、それら同じように取り扱ってしまうことで、非効率な結果を出してしまいます。
また、紙の暗記カードでも、この点を克服するのは困難です。一応、「ライトナー・ボックス」と呼ばれる、紙用の分散学習システムは存在しますが、
・1日サボったらカバーが難しい
・カードの管理が多くなると難しい
・たくさん箱を作り、維持するのが難しい
・復習日が固まるので、スケジュールが取れないと厳しい
といった問題点が存在します。数万枚にもなる暗記カードの「復習期間を決める」作業を、人間の手作業で行うのはあまりにも大変だからです。
Ankiは暗記を解決する
こうした問題、「短期記憶と長期記憶」「分散学習」の問題、を解決するのがAnkiです。
Ankiはいわば、機械の力を取り込んだ、最強の単語帳です。
(なお、詳細なAnkiのインストール方法や操作方法は、記事最下部のリンク集にまとめてあるので、そちらを参照してください。)

Ankiは、全てのカードを保存し、一枚ごとの復習スケジュールを適切に管理してくれます。面倒ごとは全てAnkiに任せればいいので、私たちがやるべきは、問題を入力し、学習ボタンを押し、できたかできなかったかを押すことだけです。





今までの懸念点は、全てAnkiのプログラムに内蔵されています。つまり、
・一度間違えた問題は、1分たたないと出題されません。よって、短期記憶だけで乗り切ることができないので、確実に覚えられます。
・1枚ごとに最適な復習間隔を自動で計算してくれるので、記憶のムラがありません。1日休んだとしても、スケジュールの組み直しは自動でやってくれます。昨日復習しなかったからといって、無駄に落ち込む心配からはおさらばです!

AnkiWebでバックアップ、スマホとも同期
さらに、AnkiWebに登録(無料)すると、追加した問題がクラウド上に保存できます。間違ってデータを削除してしまった場合も、事前に同期しておけばAnkiWebからダウンロードできるので安心です。
また、スマホ版のAnkiを導入し同じAnkiWebアカウントでログインすることで、PCで追加した問題をスマホからも学習することができます。これで、通勤通学中のスキマ時間も有効に活用できます。

終わりに
以上、最強の暗記アプリ「Anki」を紹介しました。
正直、私が6年前にこのアプリに出会っていなければ、センター試験の日本史で100点を取ることも、東大の定期試験を乗り切ることもできなかったと思います。
Ankiに出会ってから暗記が得意になったし、覚えることが多い状況でも物怖じしなくなりました。
もし覚えることに苦手意識があるなら、それはあなたが悪いのではなく、Ankiを使っていなかったからに過ぎません。
ぜひ、ぜひ使ってみてください。
役立つリンク集
Ankiのインストール方法


Ankiの基本的な使い方
